フィルターについて

あるMLで次のようなメールがありました。
 --------------- ここから ------------------------------
  今回、富士通電送( 旧名で現在は
  富士通アクセス株式会社)のプロ用途の「ACノイズフィルタ−
  KS70M-9001-0081」を入手しました。AC125V−10Aまで定格で
  通過出来ますのでAC1KWの容量が有ります。
  ガッチリと金属BOXに封入されて(検査耐圧1500Vまでと表示有り)
  ちょっと測定すると7MHzで58dBの減衰が有ります。
  
   3.5MHz−−−60dB、7MHz−−−58dB 14MHz−−−60dB
    21MHz −−62dB、28MHz −−57dB 50MHz−−−62dB
    
   (60dBは電圧比で1/1000にACラインに乗ってきたRFが減衰
    するという事です、さすがプロ用なので相当の性能です)
    
  ☆ 以上は本日の測定器による実測値です。
  
   これに更に強化用のコモンモ−ド除去用材料の棒状コア(HF帯用)
  と1KV−1000PFの高耐圧コンデンサ(デカップル用)を2個つけて
   1セットとしました。 数が少ないのでモニタ−して下さる方
   (勿論、棒コアに線を巻いたり、配線出来る方)
  を取りあえず2名募集します。配線の説明図は添付します。
 --------------------  ここまで -----------------------

 フィルターには少々興味があったので、すぐに応募しました。
 それで、送って頂いたのが次のフィルターです。



 さすがにプロ用!中身が詰まっているせいかとっても重いです。
 それから、棒コアには既にコードが巻いてあり、私は何もすることがない?状態でした。



 ゴールデンウィークに組み立ててレポートするという予定でしたが、若干遅れてしまいました。
 とりあえず、バラックで組み上がったので、第1陣は裸の状態での性能をレポートします。



 リグははIC-756PRO2を使用しました。これは、モニタースコープがあるので、今回のレポートにぴったりのリグでしょう。
 まず最初に受信に関してです。

             フィルターなし                    フィルターあり
 
 まず、7MHzです。RF AMP OFF.ATTもOFFの状態です。      同じ設定で、フィルターをつけました。
 スコープの真ん中が7.005MHzです。一目盛りが2.5kHzです。左側は7MHzのバンド外になります。あまり差がないというか、この瞬間
 だとフィルターありの方がノイズが多い状態です。まあ、時間によって変わりますから・・・
          
 
 次に、RF AMP OFFでATTを6dBにしてみました。これは、私がよく使う設定です。これもあまり差が認められません。

 
 これは10.125MHzを受信しているところです。左がフィルターなし、右がフィルターありです。はっきり言って、差がないと思います。

 
  14MHzPRI AMP OFFの受信です。うちのノイズレベルからすると、プリアンプは必要ないですね。この設定で14MHzを聞くこと
 が多いです。
  
  プリアンプを入れました。これだとノイズまみれの信号になってしまいます。気のせいかフィルター入りの方がノイズが少ないよう
 です。しかし、時間によってノイズはこれくらいのレベルの変動はありますからね。フィルターの効果はあると断言は難しいです。

   
 お次は21MHzバンド。このバンドも心なしかノイズが少ないような気がします。 

   

 
 24MHzでも基本的にはあまり変わりありませんでした。製作した電源フィルターは受信にあまり影響がないようです。もっとも、
 他の電源フィルターも同じでした。

 考えてみれば、756PRO2のスコープは、受信信号を表示しているわけです。ですから、電源ラインから混入したノイズを表示する
 わけがないのです。ノイズの量を調べるのであれば、スピーカー端子に来ているAFの電圧を測らなければならないですね。電源
 フィルターをいれてAFの出力電圧が下がれば、ノイズが減ったと考えていいのでしょう。

 それで、今度はMARK-V Fieldを使って、AFの出力電圧を測定してみました。ところが、電源スイッチを入れたり切ったりするたび
 に、セットノイズが変わってしまいます。フィルターを入れたりはずしたりしていないのに。これでは雑音の量が測れません。そのよ
 うなわけで、受信におけるフィルターの有用性は確認できませんでした。ACに雑音が乗っている汚い100Vであれば、フィルターの
 効果はよくわかったかもしれません。

 さて、送信の方を調べたのですが、我が家で唯一のIであるステレオIは1週間ほど前、息子の「お父さん、変なのが入っているよ。」
 の声に押され、とうとう根絶してしまいました。以前、スピーカー側にパッチンコアを入れてもだめでした。しかし、今回はステレオの
 出力側にコアを入れたらIが軽くなりました。 それで、コア2回巻きを4回に増やしたら、どのバンドもIがなくなりました。そういう環境
 で、今回製作した電源フィルターをはずしても、Iは出ませんでした。AC経由でIをおこしている人にとっては有用なフィルターかもしれ
 ません。ちょっと、参考にはなりませんでしたか。

 次はこのフィルターを、きちんとしたケースに入れてやり、効果の程を調べたいと思います。なお、今回の実験に付随して?同軸
 コモンフィルターをはずしたら、ノイズが2,3dB程度増えたのがわかりました。当局の場合、コモンモードフィルターがノイズ減に貢献
 していたようです。ただ、転ばぬ先の杖として、電源フィルターは挿入しておきたいと思います。


  電源フィルターについて (以前「我が家のリグたち」に書いてあったものを引っ越しさせました)
 IC-756PRO2につないでいたシンワのACフィルターSLF-5が、キーダウンするたびにピーンという音を出すことに最近気づきました。このフィルターの規格がAC100V,5Aというもので、もともと消費電力280WのTS-520に使用していたものでした。756につなぐと、規格ギリギリなのでフィルターが悲鳴を上げているようなのです。どうしようかと考えているとき、JA3AEB さんのサイトhttp://homepage2.nifty.com/miguel/でRFIの記述を見つけました。通信販売だといいフィルターが手に入らないようなので、仙台の梅沢無線にいってみることにしました。
 そこで見つけたのが、TDKのフィルターでした。特にこのコンセントタイプ(ANF-106)は3.5から10MHz帯の減衰量が多いようで、良く効くのではないかと期待しています。特に7MHzは70dBの減衰量!ちなみに、21MHzでも30dBくらいのげんすいりょうなので、ハイバンドでもそれなりに効いてくれるのではないかと思います。特性はTDKのウェッブサイト http://www.tdk.co.jp/emc/index.htm にあるのでそちらをご覧ください。お店で2500円くらいでしたか?6A流せるので、消費電力が450WほどのFT-1000 MARK-V Fieldにはちょうどいいと思います。



 もう少し安いタイプだと、機器に組込用のフィルター(ZUB2206H-F)がありました。コモンモードフィルターで、HFからUHFまで40〜50dBくらいの減衰量があります。50MHz用のリグになりそうなIC-756PRO2にあっているかもしれません。ちょっと部品を付け足して、立派な?フィルターになりました。




目次へ